におい辞典

PPM

parts per millionの略。100万分のいくらかであるかという割合を示す。 1ppm=0.0001%のことで、1トン積みの小型トラックの中の1g、1kmのうちの1mmといった割合である。 主に濃度を表すために用いられ、その物質の含有率を表す。


VOC

揮 発性有機化合物Volatile Organic Compoundsの略。常温常圧で大気中に容易に揮発する有機化学物質の総称。WHOでは,そのうち沸点が50℃~260℃の有機化学物質の総称と定義 される。塗料、印刷インキ、接着剤、洗浄剤、ガソリン、シンナーなどに含まれるトルエン、キシレン、ベンゼン、フロン類、ジクロロメタンなどが代表的な物 質。平成18年4月1日より大気汚染防止法の改正に伴い、排出規制が始まった。最近では、シックハウス症候群や化学物質過敏症が社会に広く認知され、問題 となっている。


悪臭防止法

工 場その他の事業所などから発生する悪臭物質について、都道府県による規制、違反に対する改善勧告、命令措置などについて定める法。1971年(昭和46) 制定。 悪臭公害の主な原因物質として、特定悪臭物質(22物質)が指定され、実情に応じて臭気強度2.5~3.5の範囲内で敷地境界線上の規制基準を定めてい る。 また、におい物質が混じり合った時発生する相加・相乗効果などにも対応するため、すべてのにおいを総合的に評価する『臭気指数規制』も導入され、近年普及 している。


アセトアルデヒド

悪 臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。独特の青くさい刺激臭を持ち、有毒である。自動車の排気やたばこの煙、合板の接着剤などに由来する大気汚染物質でも ある。建築材から放出されるアセトアルデヒドはシックハウス症候群の原因物質のひとつとして問題視されている。また、人体ではエタノールの酸化によって生 成し、これが原因で二日酔いの症状(頭痛や吐き気)が現われる。大気濃度規制値:0.05~0.5ppm、においの閾値:0.0015ppmとされる。


アンモニア

悪 臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。鼻をつく強いし尿のようなにおいを持ち、有毒である。畜産事業場・化製場・し尿処理場・ごみ処理場、また工業的な利 用の行われる事業場などで発生のおそれがある。大気濃度規制値:1~5ppm、においの閾値:1.5ppmとされる。


イソ吉草酸

悪 臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。むれた靴下のような臭いを持ち、足の裏のニオイはイソ吉草酸が原因といわれる。主に畜産事業場、化学工場、でんぷん 工場などにおいて発生のおそれがある。大気濃度規制値:0.001~0.01ppmにおいの閾値:0.000078ppmとされる。


イソバレルアルデヒド

悪臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。むせるような甘酸っぱい焦げたニオイを持つ。焼付け塗装工程のある事業場などにおいて発生のおそれがある。大気濃度規制値:0.003~0.01ppmにおいの閾値:0.0001ppmとされる。


イソブタノール

悪臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。刺激的な発酵したニオイを持つ。塗装工程のある事業場などにおいて発生のおそれがある。大気濃度規制値:0.9~20ppmにおいの閾値:0.011ppmとされる。


イソブチルアルデヒド

悪臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。刺激的な甘酸っぱい焦げたニオイを持つ。焼付け塗装工程のある事業場などにおいて発生のおそれがある。大気濃度規制値:0.02~0.2ppmにおいの閾値:0.00035ppmとされる。


検知管式ガス測定器

臭 気物質と化学反応を起こす物質を入れた、細いガラス管(検知管)を用いて、簡易的に対象気体の濃度を測る測定器。気体採取器などで吸引された一定量の試料 気体がガラス管を通ると、指示薬が反応し着色する。その目盛りを読み取ることで濃度がわかるという仕組み。数百種類以上の臭気物質にそれぞれ対応した検知 管が存在する。


活性炭

通 常の蒸し焼きによってできる炭素物質(炭)を高熱で薬品やガスと反応させ、より多くの微細孔を付与させたもの。微細孔が炭素内部に網目状に構成されるため 表面積が大きくなり、種々の物質を吸着する。分子量の小さい極性分子(水など)は吸着しにくく、特定の粒状の有機物を吸着しやすいため、脱臭、水質浄化、 毒物中毒における毒の吸着等、特定の物質を選択的に分離、除去、精製するなどの目的で用いられる。ほとんどの活性炭は90%以上が炭素で成り立ち、一部は 酸素、水素との化合物である。


キシレン

悪 臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。 3種類の異性体、o-キシレン(1,2-ジメチルベンゼン)、m-キシレン(1,3-ジメチルベンゼン)、p-キシレン(1,4-ジメチルベンゼン)が存 在する。ガソリンのようなニオイを持ち、医薬用外劇物に指定される。塗装工程あるいは印刷工程のある事業場などにおいて発生のおそれがある。大気濃度規制 値(3異性体の合計):1~5ppmにおいの閾値:それぞれ0.38、0.041、0.058ppmとされる。


酢酸エチル

悪臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。刺激的なシンナーのようなニオイを持つ。塗装工程あるいは印刷工程のある事業場などにおいて発生のおそれがある。大気濃度規制値:3~20ppmにおいの閾値:0.87ppmとされる。


臭気強度(6段階臭気強度表示法)

に おいの強さを0(無臭)、1(やっと感知できるにおい)、2(何のにおいか判る弱いにおい)、3(楽に感知できるにおい)、4(強いにおい)、5(強烈な におい)の6段階で評価・表示する方法である。この数値は、人間の感覚的なものをおおまかに数値化したものであり、これを厳密に評価し、臭気強度のどのレ ベルに当てはまるかを定量的に評価する方法が悪臭防止法によって定められている。


臭気指数

臭 気濃度を対数変換し、人間の嗅覚の感覚量に対応させたもの。臭気濃度と臭気指数の関係: 臭気指数=10×log(臭気濃度)悪臭防止法では平成7年に一 部が改正され、臭気の評価方法としてそれまでの「特定悪臭物質の濃度による規制」とともに、新たに「臭気指数規制」が導入された。これは、臭気物質の組み 合わせによっては、単独で嗅いだときよりも強く感じる場合や、逆に比較的弱く感じる場合もあるため、臭気全体を評価できる臭気濃度を採用したものである。


臭気濃度

あ る臭気を無臭の清浄な空気で希釈したとき、ちょうど無臭に至る希釈倍数のこと。複合臭を総合的に判断するのに使われる。例えば臭気濃度1000とは、「こ の臭気は、無臭の空気で1000倍に希釈したときに臭いを感じなくなる濃度である」という意味。感覚的な「におい」を嗅覚測定法によって数値化しようとす るものであり、その測定には『三点比較式臭袋法』という方法が採用されている。


臭気判定士

悪 臭防止法に基づき創設された臭気環境分野で初めての国家資格。臭気判定士(臭気測定業務従事者) は人間の鼻(嗅覚)を使った嗅覚測定法において、パネルの選定、試料の採取、試験の実施、結果の求め方まで全てを統括する。平成23年3月31日現在で、 3063名の臭気判定士が活躍している。


スチレン

悪臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。都市ガスのようなニオイを持つ。化学工場、FRP製品製造工場などにおいて発生のおそれがある。大気濃度規制値:0.4~2ppmにおいの閾値:0.035ppmとされる。


ダイオキシン

ポ リ塩化ジベンゾパラジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン、コプラナーポリ塩化ビフェニルの総称。その種類によって毒性は大きく異なる。無味無臭。自然には 分解しにくい。廃棄物の焼却処理過程においての発生が一番多く、その他に金属精錬施設、自動車排ガス、たばこの煙などから発生するほか、山火事や火山活動 などの自然現象などによっても発生する。平成11年に制定されたダイオキシン類対策特別措置法によってその排出規制などが定められている。


特定悪臭物質

1971 年(昭和46年)制定の悪臭防止法第2条に基づいて指定される不快な臭いの原因となり、生活環境を損なうおそれのある物質のこと。以下の22の物質が指定 されている。アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、ニ硫化メチル、トリメチルアミン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ノルマ ルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、イソブタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、ト ルエン、スチレン、キシレン、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸


トリメチルアミン

悪臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。腐った魚のようなにおいを持つ。畜産事業場、化学工場、魚腸骨処理場、水産缶詰製造工場などで発生のおそれがある。大気濃度規制値:0.005~0.07ppm、においの閾値:0.000032ppmとされる。


トルエン

悪臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。ガソリンのようなニオイを持つ。塗装工程あるいは印刷工程のある事業場などにおいて発生のおそれがある。大気濃度規制値:10~60ppmにおいの閾値:0.33ppmとされる。


においの閾値(いきち)

嗅覚でにおいを感知できる限界の濃度のこと。においのしきい値ともいう。


二酸化塩素

強 毒性鳥インフルエンザの人型変異とそれに起因する世界的大流行(パンデミック)への懸念から、空間を消毒できる二酸化塩素ガスに注目が集まる。塩素の酸化 物で、常温・常圧では橙色の空気より重い気体。化学式 ClO2 で表される無機化合物。殺菌作用があり、消臭・消毒・パルプの製造の際の繊維の漂白などに用いられる。現在日本の浄水処理には塩素や次亜塩素酸ナトリウム が使用されるが、有機物の多い水の場合、発癌性物質トリハロメタンを生成してしまう。その点、浄水処理に使用が認められる二酸化塩素は、トリハロメタンを 生成しにくいという特徴も持つ。


二硫化メチル

悪臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。刺激性が強く、ニンニクや腐ったキャベツのようなニオイを持つ。パルプ製造工場、化学工場、し尿処理場などにおいて発生のおそれがある。大気濃度規制値:0.009~0.1ppmにおいの閾値:0.0022ppmとされる。


ノルマルバレルアルデヒド

悪臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。むせるような甘酸っぱい焦げたニオイを持つ。焼付け塗装工程のある事業場などにおいて発生のおそれがある。大気濃度規制値:0.009~0.05ppmにおいの閾値:0.00041ppmとされる。


ノルマルブチルアルデヒド

悪臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。刺激的な甘酸っぱい焦げたニオイを持つ。焼付け塗装工程のある事業場などにおいて発生のおそれがある。大気濃度規制値:0.009~0.08ppmにおいの閾値:0.00067ppmとされる。


光触媒脱臭

光 を照射することにより光化学反応を示す、光触媒と呼ばれる物質を用いた脱臭法。光触媒に太陽や蛍光灯などの光が当たると、化学反応によりその表面で強力な 酸化力が生まれる。その酸化力により、接触してくる有機化合物や細菌などの有害物質を除去できるため、脱臭技術として用いられる。具体的な光触媒活性物質 として知られ、現在実用化されている光触媒としては酸化チタンが代表的である。


プロピオンアルデヒド

悪臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。刺激的な甘酸っぱい焦げたニオイを持つ。焼付け塗装工程のある事業場などにおいて発生のおそれがある。大気濃度規制値:0.05~0.5ppmにおいの閾値:0.001ppmとされる。


プロピオン酸

悪臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。刺激的な酸っぱいニオイを持つ。脂肪酸製造工場、染織工場などにおいて発生のおそれがある。大気濃度規制値:0.03~0.2ppmにおいの閾値:0.0057ppmとされる。


ホルムアルデヒド

独 特の刺激臭を持ち、毒性が強い無色の有機化合物である。接着剤、塗料、防腐剤などの成分であり、安価なために広く用いられているが、建材から空気中に放出 されることがあり、低濃度でも人体に悪影響を及ぼす「シックハウス症候群」の原因物質のうちの一つである。健康住宅研究会では室内濃度30分平均値で 0.1mg/m3以下を目標に低減させるとしている。においの閾値:0.50ppmとされる。


メチルイソブチルケトン

悪臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。刺激的なシンナーのようなニオイを持つ。塗装工程あるいは印刷工程のある事業場などにおいて発生のおそれがある。大気濃度規制値:1~6ppmにおいの閾値:0.17ppmとされる。


メチルメルカプタン

悪臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。 腐ったタマネギのような臭いを持ち、有毒である。主な発生源は、し尿処理場、下水処理場、石油化学工場、食品工場、パルプ製造工場など。大気濃度規制値0.002~0.01ppm、においの閾値0.00007ppmとされる。


硫化水素

悪 臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。 硫黄と水素で構成される化合物。腐った卵に似た特徴的な強い刺激臭があり、有毒である。下水処理場やごみ処理場・石油化学工場・厨房排水などで発生する。 大気濃度規制値:0.02-0.2ppm、においの閾値:0.00041ppmとされる。


硫化メチル

悪 臭防止法に規定する悪臭物質のひとつ。腐ったキャベツのようなにおいを持つ。クラフトパルプ製造工場、化製場、魚腸骨処理場、し尿処理場、下水処理場、 ごみ処理場などにおいて発生のおそれがある。大気濃度規制値:0.01~0.2ppmにおいの閾値:0.0030ppmとされる。