月刊「ビルクリーニング」に掲載されました。活性炭+HEPAフィルターの力で安価に喫煙対策!

換気・脱臭装置 Qポット
活性炭+HEPAフィルターの力で安価に喫煙対策!

改正健康増進法により喫煙室の設置に新たな基準

国による喫煙対策が始まったのは、1996 年(平成8年)の厚生省の通達(旧ガイドライン)が最初で、これによりビル内に空気清浄機を置いた喫煙室を設ける企業が増加しました。2003 年には健康増進法(新ガイドライン)が施行され、受動喫煙防止対策が努力義務化されました。


その後、健康増進法は改正され、多くの人が利用する施設の区分に応じ、施設の一定の場所を除き喫煙を禁止するとともに、管理者が講ずべき措置などが定められ、2020 年4月1日から施行されています。
改正法は、事業の類型や場所ごとに、各種喫煙室の設置が認められています。設置にあたっては、タバコの煙が漏れないよう、技術的基準が次のように明確化されました。

  1. 出入口において、室外から室内に流入する空気の気流が、0.2 メートル毎秒以上であること
  2. たばこの煙(蒸気を含む。以下同)が室内から室外に流出しないよう、壁、天井等によって区画されていること
  3. たばこの煙が屋外または外部の場所に排気されていること

(健康増進法施行規則第 16 条)

また、既存の建築物で3を満たさない場合でも、必要な措置が取られていれば、以下の措置を施すことで、脱煙機能付き喫煙ブースの設置が認められています。

  • 総揮発性有機化合物の除去率が 95 %以上であること
  • 装置により浄化され、室外に排気される空気における浮遊粉じんの量が0.015mg/m³以下であること

新基準に対応した臭いの残らない安価な脱臭装置

以上のような法改正により、基準に準拠した喫煙室を設けるビルも増えたように思います。しかし、上記の基準を満たす喫煙室にするには、それなりの費用がかかります。例えば、よくあるボックス型の喫煙ブースは、工事費 用を含めてウン百万円かかります。費用を押さえるため、 タバコ用の空気清浄機を設置するところもありますが、 じつはタバコ用の空気清浄機は民生用・業務用を問わず、 タバコのガス状成分が除去できず、臭いが残ります。そ のことは国も認めており、「空気清浄機の設置のみで受動喫煙防止対策を実施することは避けることが 望ましい」としています(参考資料)


こうした問題を解決し、安価に設置でき、かつタバコのガス状成分までしっかり除去して臭 いを残さない小型の脱臭装置がQポットです。Qポットは、❶活性炭でガス状物質を捕獲しながら、❷HEPAフィルターによって空気清浄機のような機能を併せ持つデュアルシステムの換気装置です。


設置方法は、図1のような小スペースの喫煙室に置いて換気扇付近に排気できるダクトを付けるだけです。排気される空気はその時点で脱臭され、揮発性有機化合物(VOC)も95%以上除去されますので、換気扇に直に敷設する必要はありません。出入口のドアにガラリを取り付けることで、基準値である「室外から室内への気流速度 0.2m/秒」を確保でき ますが、ドアの開閉でたばこ煙が室外にでることを心配される場合は、のれん式カーテンを設置することで解決できます。活性炭はカートリッジ式で、交換の目安は1年ですので、メンテナンス費用もとてもリーズナブルです。

参考資料)
喫煙室の技術的留意事項に関する厚労省通達(平成 27 年 5 月 15 日)
空気清浄装置は、たばこ煙の粒子成分を効率よく除去するが、ガス状成分は完全には除去できない。このため、屋外排気装置を設置せず、空気清浄装置の設置のみで受動喫煙防止対策を実施することは可能な限り避けることが望ましい。

タバコ煙ガス状物質を吸着する活性炭とは?

活性炭1

活性炭の脱臭能力はその重量 に比例します。「シガーPOT」 及び「Qポット」に内臓されて いる活性炭の重量は各々約 20kg です。

活性炭2

たばこの本数に換算すると、47,000 本以上の環境タバコ煙 (ETS)を吸着・捕捉することができます。

Qポッド

図1:設置イメージ図

除去範囲

図2:物質の粒径とフィルター・活性炭の除去範囲

Qポットはなぜ驚くほど臭いが取れるのか?

図2は物質の粒径とフィルターや活性炭の除去範囲を 示したものです。タバコの煙には粒子状の煙(3.3%)と微細なガス状 物質が(96.7%)があり、ほとんどの粒径は0.05μm以下のため、フィルターは素通りしてしまいます。


空気清浄機は大気汚染を契機に登場してきた粉塵除去用の民生品で、各種フィルターが内蔵されており、電気集塵やプラズマ、光触媒等の機能を付加し、脱臭・消臭性能を強化したタイプのものが多く出回っています。しかし、タバコ煙に含まれるガス状物質を瞬時に除去するのは難しいのが現状です。 ULPAフィルターも、小さな粒径の臭い物質を除去しそうですが、フィルター式は高性能になるほど高額であり、吸引するためのファンが大型になります。それを避けるために、いくつか異なる粒径を捕獲できるフィルターを多層式に使用することになりますが、これも高額になる一方で、それでもやはりタバコのガス状物質を捕獲することはできません。


一方、脱臭装置は、工場や下水処理場などの悪臭ガスを除去するために産業品として登場してきたもので、有害なVOCを瞬時に吸着・捕捉する能力をもつ装置として多くの実績を有しています。Qポットはこうした技術を活用し、活性炭装置にHEPAフィルター等を組み込むことによって、タバコの臭いが驚くほど除去できるのです。


開発したのはアイダッシュ株式会社というメーカーで す。長年、病院、下水処理施設、工場などVOCなど 有害物質含むシビアな臭いの脱臭を専門としてきました。 喫煙対策の脱臭装置としては、Qポットのほかに、「シガーPOT」という少し大型の活性炭脱臭装置もあり、少 し広いスペースではこれらを組み合わせることで、さらに効果的な喫煙対策が可能となります。

Qポッド仕様

「Qポット」の仕様