スーパーヨウ素炭誕生前史<活性炭からヨウ素炭の時代へ>

スーパーヨウ素炭(改良型ヨウ素酸添着活性炭)の開発に、情熱を傾けて参画した当社代表取締役の一居から、 その誕生秘話を聞き、「スーパーヨウ素炭物語」としてまとめました。

 

(1)活性炭

一般に活性炭の材料には、海外原産の「ヤシ殻」「石炭」などが使用されます。 その材料に、高温・高圧処理で大量にミクロの穴を穿つ「賦活」という加工によって、 吸着性能をもつ「活性炭」が作られています。

そうした活性炭のもつ物理吸着の性能は、今では基本的に、 どこのメーカーで製造しても同程度です。 また、その製造はほとんど東南アジアや中国で行われております。

 

(2)活性炭の物理吸着の限界

ところが活性炭は、臭気成分(ガス)の種類や濃度によって吸着量に差異が発生します。 そこで、活性炭の物理吸着だけでは対応が難しい場合、臭気(ガス)を取るために、 活性炭に何らかの化学薬品を添着した「添着炭」というものを使います。

この「活性炭」の「添着炭」への加工は、ほとんどが日本国内で行っており、 性能を高めるべく多くの活性炭メーカーが競い合っています。

 

(3)ヨウ素炭とは

活性炭に添着する薬品には様々なものがあります。 当社が注目しているのが、「ヨウ素(I)」のオキソ酸と呼ばれる化合物の一種で、 水溶液の「ヨウ素酸(HIO3)」という薬品です。

「ヨウ素」というのは、酸化還元力が強く、フッ素・塩素・臭素などとともに ハロゲンと呼ばれ、その化合物は酸性のガスを分解する力、 つまり、脱臭する力が非常に強い物質です。

フッ素・塩素・臭素といった物質は、すでに各社が取り扱っていて、以前よりメーカーから 各種商品が出ていますが、ヨウ素に関しては、当時だれも手を出していませんでした。 それは、ヨウ素という資源の生産量は世界的に少なく、希少価値のとても高い、 価格の高い鉱物だからです。

ヨウ素は、主に硝石という鉱物や海藻、地下数百メートルから天然ガスとともに汲み上げられる 「かん水」の中に含まれており、近年、液晶ディスプレイや薄型太陽電池などの付加価値の高いものにも使われております。

幸いにも、日本はチリやアメリカ等と並ぶヨウ素の資源国であり、 海外へも輸出するほどですが、地下から汲み上げた何トンもの「かん水」から 僅かにしか取れない貴重な鉱物には変わりなく、 このヨウ素を水溶液にした「ヨウ素酸」を添着した活性炭を「ヨウ素炭」といいます。

 

(4)ヨウ素炭の開発経緯

今からおよそ30年前、大手建設会社の清水建設㈱の研究所内において、 「活性炭にヨウ素酸を添着」する実験が行われ、 「ヨウ素炭」という活性炭が発明されました。 (特許番号 1404235, 1732650, 1887879)

清水建設㈱ではこの頃、室内環境の改善に関わる研究が多くなされ、 その一環として「におい・かおり」に関する研究論文の発表や特許取得が盛んに行われました。

しかし、「ヨウ素炭」については自社の事業に活用されることはなく、特許取得後10年以上も お蔵に入ったまま、世間に知られることはありませんでした。 もちろん、どこの活性炭専門メーカーも、値段の高い「ヨウ素(酸)」を活性炭に添着する、 などといったことは全く考えなかったようです。

「ヨウ素炭」が世に出るようになったきっかけは、知的財産部にかかってきた一本の電話です。 発明から10年が経ったころ、「ヨウ素炭」の技術資料に目を留め、 とても興味をもたれたT氏から、この「ヨウ素炭」を是非扱ってみたいとの要請が 清水建設にあったのです。

T氏は「ヨウ素炭」の良さを世の中に理解してもらうため、大手プラント会社を巻き込み、 性能比較を行うための実験装置を下水処理場に持ち込み、1年以上もの間実験を繰り返し 「ヨウ素炭」の優れた性能を立証したのです。 その後、少しずつ「ヨウ素炭」が世の中に認知されていくことになります。

それから10年。「ヨウ素炭」は、他の活性炭では対応できない、比較的濃い臭気が 排出されている下水処理施設の脱臭に採用されるケースが増加しております。

 

(5)ヨウ素炭の特長

ところで臭気は単一のガスというものはほとんどなく、成分を分析すると、 種々の臭気物質が混ざっている複合ガスであることがわかります。

臭気成分を大きく分けると、酸性ガス、塩基性ガス、中性ガスの3つに分類されますが、 これらの性質の違った臭気を同時に除去するために、複合ガスの発生する下水処理場等では、 酸性ガス用、塩基性ガス用、中性ガス用の3種類の添着活性炭を3層に積んで対応しております。

ところが「ヨウ素酸」を添着した「ヨウ素炭」は、硫化水素などの酸性ガスが良く取れるだけではなく、 塩基性ガス、中性ガスも、同時に除去することができる添着炭なのです。

3層に積んだ3層炭と、1層で処理できる「ヨウ素炭」では、何が変わるかというと、 その使用量です。

活性炭は、敷き詰めた層が薄すぎると、隙間から臭気がどんどん抜け出てしまうため、 1層当たり30㎝以上積む必要があります。 そうしますと、3層合わせた場合、どうしても1m近くの厚みになってしまいます。 その量が脱臭に必要かどうかにかかわらず、3層の場合、多くの活性炭が必要になります。

ところが、「ヨウ素炭」は1層で3種類のガスに対応しますので、極端なことをいえば、 厚みは30㎝程度あれば良い、ということになるのです。つまり、3分の1で良いわけです。

「ヨウ素炭」の評判は、複合ガスを一種類の活性炭で処理できる、という画期的な特長によって 世の中に認知されていきましたが、酸性ガスの吸着性能に比べ、塩基性ガス、中性ガスについては それぞれの特殊機能活性炭の能力を凌駕するものではありませんでした。

高い濃度の塩基性ガス、中性ガスの除去に対しても、さらに能力を高めた完全な一層炭にするには 更なる改善が必要でした。