活性炭とは?活性炭の種類、製造方法、効果

当社ではオリジナルの活性炭であるスーパーヨウ素炭i-DACや脱硫触媒活性炭S-DACをはじめ、様々な活性炭を取り揃えています。そもそも活性炭とはどういうものなのか、当社開発のスーパーヨウ素炭はどのように誕生したのか、ご紹介します。



活性炭とは?

活性炭(英 Activated carbon)は、ヤシがらや石炭、木材、おが屑などの炭素物質を炭化したのち、更に化学的または物理的な処理を施すことで物質の吸着効率を高めた、炭素を主な成分とする多孔質の物質です。

特定の物質を選択的に分離、除去、精製するなどの目的で用いられます。

ほとんどの活性炭はその約90~95%が炭素で成り立ち、その他、酸素、水素、窒素、カルシウムなどで構成されます。

活性炭は同じ原料でも、賦活(後述)の状態によって「比重」の数値が大きく変わります。 一般的に高賦活の活性炭は微細孔が豊富にあるので空隙率が高く、比重の数値は低くなり、「表面積」の数値は高くなります。一般的に表面積が大きい活性炭ほど吸着性能と吸着容量は増加します



活性炭の歴史

活性炭工業の発達史は、古くは木炭を燃料や冶金(やきん)以外に使用した古代エジプト時代にまでさかのぼります。 紀元前1550年「Ebers Papyrus(エーベルス・パピルス)」というエジプト医学文書に各種炭素を医薬用に供することについて記述されており、その当時から医者は木炭がある種の病気を治すことに大変な信仰を持っていた様子が分かります。また紀元前約200年の写本には水の精製には木炭でろ過するとよい、との記述があります。

その後、木炭による精製糖の脱色などに長く使用され、18世紀には動物炭や骨炭といった木炭以外の炭の製造がはじまり、1815年、動物炭を砂糖の精製と清澄に使用する特許が取得されました。更に1865年にはヤシ殻炭のガス吸着力が大きいということが報告されています。

そして19世紀中ごろ以降、より高い吸着性能を求めて賦活に関する研究が本格化。20世紀にはガス賦活及び薬品賦活法によって活性炭の工業的な製造が始まると、毒ガス防御法として優れたガスマスク用活性炭の製造研究が国をあげて取り組まれ、活性炭工業は第一次世界大戦以降軍需産業として成長を遂げました。

その後十数年間、活性炭業界では激しい競争が行われ、急速に発展。 近年では、都市の過密化や工業の急速な発展による不快な臭気やいやな色素、有害不純物などを除去し、飲食物や環境などの純度を高めようとする動きから、活性炭の吸着性能も向上し、高度浄水処理をはじめとする水質改善やダイオキシンの除去等の大気の環境浄化などにおいて、活性炭の需要が高まっています。



活性炭の種類

活性炭の特性は、原料や賦活条件によって異なります。そのため、種々の方法で製造された活性炭は、それぞれ吸着の特性も異なり、その多様性のためにそれぞれの活性炭が、ある特定の用途に適用されることになります。活性炭はその形状によって、次のような種類があります。



● 粉末状 活性炭

直径0.15mmより小さい粉末。直接接触してろ過する用途に用います。単位量あたりの吸着量および吸着速度で優れていますが、再生が困難というデメリットを持ちます。精糖、医薬、工業薬品、醸造、浄水、排水、カイロなどに用います。



● 粒状 活性炭

種々の形状、及び大きさのものがあり、一般にガス吸着、触媒、水処理等流動層、移動層として用いられます。粒状炭には破砕炭と造粒炭があります。



― 破砕炭

粒状で、形状及び大きさは不規則。原料の材質を保存しており、代表例はヤシ殻炭。水蒸気賦活後、ガス吸着用として用いられます。



― 造粒(成形)炭

製造プロセス中に成形されるもの。石炭を粉砕し粘結剤を加えて成形します。形状や大きさには各種あります。

他には、材料、製法、用途によって、繊維状、ハニカム状、円柱状、破砕状、粒状、粉末状など、多彩な形状に加工されます。原料によっては、大きく3種類に分けることができ、「石炭系」(歴青炭,褐炭,亜炭など)、「植物系」(ヤシがら、おが屑、木材、セルローズなど)、「その他」(骨や石油の残渣、オイルカーボンなど)があります。



活性炭の製造方法

活性炭は、原料を「炭化」し、それを更に「賦活」と呼ばれる処理を加えるという2工程により製造されます。「炭化」とは中温(200℃~600℃)且つ無酸素状態で蒸焼きにすること、「賦活」とは熱や薬品によって、原料中の有機物や無機物の固形物を分解・蒸発させることです。炭化処理によって出来た孔に、賦活処理でさらに多くの細孔を付加する事により、表面積を大きくし、炭化物に比べて非常に大きな吸着性能を持たせることができます。



賦活の種類

この賦活の方法には無数の特許があり、文献にも各種の賦活法が発表されています。現在、アメリカをはじめ世界的に広く、かつ最も多く採用されているのが、「ガス賦活法」であり、活性炭製造の主流を占めている。炭化物に対し各種の酸化性ガス(水蒸気、二酸化炭素、空気など)を高温(800~900℃)で吹き付ける方法です。

他には「薬品賦活法」があります。原料あるいは炭化物を薬品処理する賦活法で、脱水性の塩類及び酸(塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、リン酸、硫酸、カセイソーダ、カセイカリなどのアルカリ類など)が使用されます。活性炭の初期段階では、この薬品賦活法が主流を占めていましたが、その後ガス賦活法に市場を奪われ、現在では「薬品賦活法」はある特定の用途に対してのみ用いられます。一般にガス賦活炭のほうが「ろ過性」に優れるといわれますが、薬品賦活炭は液相の吸着性能に優れた特徴を持ちます。



活性炭の吸着の原理と特長

活性炭には、賦活によって非常に微細な穴:細孔(直径10~200Å)(注:10Å=1nm)が大量に形成されます。活性炭の細孔は様々な大きさのものが分布していますが、孔の大きい順にマクロ孔、メソ孔、マイクロ孔と呼ばれ、活性炭は他の多孔質物質と比較すると、中でも特にミクロ孔の発達を特長とします。

●ミクロ孔 直径20Å以下の細孔
●メソ孔  直径20~500Å以下の細孔
●マクロ孔 直径500Å以上の細孔

物質の表面から生まれる引力によって物質の分子が引き寄せられることを界面現象と呼びますが、活性炭においてこの界面現象をより強力にしているのが、この微細孔による「毛管現象」です。毛管現象は孔の大きさが小さければ小さいほど、吸着力を発揮するため、ミクロ孔の発達した活性炭は、炭より圧倒的な吸着性能を誇ります。

この微細孔が炭素内部に網目状に構成されるため、活性炭は非常に大きな内部表面積を持ちます。製法、原料により差異はありますが、通常の炭1g当たりの表面積300~500m2に対して、活性炭は1g当たりの表面積が800~2,000m2に達します。例えばサッカーグラウンドは国内標準で7,200m2ほどですが、活性炭10gあたりの表面積はそれよりも広いおよそ1万m2と、膨大な空間を持ちます。

また、活性炭の表面は非極性(※)の性質を持つため、「水」のような「極性をもつ分子」は吸着しにくく、逆に「粒状の有機物(非極性分子)」のように取り除きたい物質を選択的に吸着する特性を持ちます。(※極性とは分子内に存在する電気的な偏りのこと。「極性を持つ物質」は「非極性溶媒」には溶解しにくいが、「極性を持つ溶媒」には溶解しやすいという性質がある。)

また、気体の処理においては、分子量の小さい気体は吸着しません。

以上の性質を利用して、活性炭は幅広く物質の精製・浄化に使用されています。脱臭、水質浄化、毒物中毒における毒の吸着等をはじめ、食品処理、鉱業、自動車、化学薬品、医薬品、環境保全事業等にも使用されています。



活性炭の生産量

活性炭の2011年度日本国内生産量は64,718t、工業消費量は3,087t です。世界の活性炭についてまとめた統計は無く、正確な実態はわかっていませんが、ある文献では1998年の活性炭の生産能力が約74万トンであったとされ、生産実績はその約85%以下と推定されます。また別の文献によれば、1998年に約9.5万トンであった中国の活性炭生産量は2010年には約44.5万トンに、2002~2010年の生産量成長率は年平均14.4%にも達し、中国は世界最大の活性炭生産国・輸出国となっています。2011年に120万トンを記録した世界の活性炭需要は今後、年平均10%以上成長し、試算では2016年に190万トンに達すると見込まれています。背景には世界各国で環境問題が悪化し、活性炭需要の高まりが起きていることが考えられます。



活性炭の再生

活性炭の再生とは使用済み活性炭の吸着能力を回復し、再使用できる状態にすることです。活性炭に吸着している物質(吸着質と呼ばれる)が脱離しやすいように活性炭の環境を整える処理をすることで、吸着質を脱着、あるいは分解し、活性炭の吸着性能を回復します。再生効果のよい活性炭は、ヤシ殻炭、パーム核炭、ある種の石炭を原料とした破砕活性炭などです。

産業公害防除に対する活性炭の応用が活発化するのに伴い、こうした廃活性炭の再生問題が注目されています。これには原料資源の確保の問題と、経済性・環境保護の問題などが関連しています。原料資源の確保は、すぐれた活性炭を経済的に製造するために不可欠ですが、原料資源は世界的にいって限られた地域に偏在しているのが現状です。一度使用して吸着性能が低下した廃活性炭を効果的に再生し、循環使用することができれば、この原料問題が国際的に著しく軽減され、活性炭の価格も実質的に低廉になるという効果が期待できます。

再生方法は薬品再生法、脱着再生法など様々ありますが、実際には再賦活と呼ばれる、高温熱分解と酸化性ガスによる再生法(熱再生)が一般的です。

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